勝海舟の言葉 2009年5月12日(火)
幕末の 勝海舟の談話集である 「氷川清話」に 面白い言葉があるので書いてみます。
〇困苦艱難に際会すると、 たれでもここが大切の関門だと思って一所懸命になるけれど、 これが一番の毒だ。 世間に始終ありがちな困難が、 一々頭脳(あたま)に こたえるようでは、とても大事業はできない。 ここはシナ(中国)流儀に平気で澄ましこむだけの余裕がなくてはいけない 。そう一所懸命になっては、とても根気が続かん。
〇いわゆる心を明鏡止水のごとく磨ぎ澄ましておきさえすれば、 いついかなる事変が襲うてきても、 それに処する方法は、 自然と胸に浮かんでくる。 いわゆる物来たりて順応するのだ。
〇理屈づめに 世の中の事を処置しようとするから、 いつも失敗のし続けで、 そうしてあとでは大騒ぎをしている。 おれなどは、理屈以上のいわゆる呼吸というものでやるから、容易に失敗もせぬが、 万一そういう逆境にでも陥った場合には、じっと騒がずに寝ころんでいる。 またのちの機会がくるのを待っている。 そしてその機会がきたならば、すかさずそれをつかまえて、事に応じ物に接してこれを活用するのだ。
〇ひとたび勝たんとするに急なる。 たちまち頭熱し 胸おどり、措置かえって転倒し、 進退度を失するの患(うれい)を免れることができない。 もしあるいは、 のがれて防御の地位に立つたんと欲す、 たちまち退縮の気を生じきたりて 相手に乗ぜられる。 事、大小となく、 この規則に支配せられるのだ。